工法について

PC圧着構造、PC圧着関節⼯法について
ご紹介します。

プレストレストコンクリートとは

プレストレストコンクリートとは

About Precast prestressed

プレストレストコンクリートは、鉄筋の5~6倍の強度を持つ「PC鋼材」と呼ばれる高強度の材料を用いてプレストレスを部材に与えます。PC鋼材を引っ張った状態で固定するとPC鋼材が戻ろう(縮もう)としてコンクリートに圧縮力を与えます。これにより部材の耐力を高め、ひび割れや変形を抑制します。また、荷重が除荷されれば部材は復元力を伴ってもとに戻ろうとします。

プレストレストコンクリートのつくり方

プレテンション方式

プレテンション方式

ポストテンション方式

ポストテンション方式

PC圧着構造について

PC圧着構造について

Precast prestressed concrete structure ~KANSETU KOHO~

PCとは、プレストレストコンクリートの略称です。
コンクリートの引張強度は、圧縮強度の1/10程度ですから、その引張強度をプレストレス(あらかじめ導⼊する圧縮⼒)で補完することで10倍強いコンクリートが実現します。この10倍強いコンクリートがプレストレストコンクリートです。
プレストレスを与えているPC鋼材には復元⼒がありますから、⼀時的に過⼤な荷重(⼤地震など)が作⽤してひび割れが⽣じても、その荷重が除かれると元に戻ります。
圧着とは、工場製品化した高品質高耐久のプレキャスト部材をPC鋼材(現場施⼯)の緊張⼒で⼀体化させることを⾔います。例えれば、⿇雀のパイを積む時に、数個のパイを両側から圧すことで⼀体化させ、積上げられる原理が圧着です。
プレストレスとプレキャストの特性を融合させた工法がPC圧着構造(圧着工法)です。

PC圧着関節工法について

PC圧着関節⼯法について

Prestressed Articulation Joint System

PC圧着関節工法 架構模式図

PC圧着関節工法 架構模式図

従来の圧着⼯法と⼤きく異なる点は、柱にPC鋼材(主にPC鋼棒)を配したこと。次に柱に梁受けのコーベル(あご)を設けたことです。その2点の⼤きな特徴は次の通りです。
① 柱にPC鋼棒を配し、柱の頂部で緊張することで柱を⾃⽴させます。柱を⾃⽴させるだけではなく、PC鋼棒に緊張⼒を与えることで、外⼒(地震の揺れなど)に抵抗し、過度の外⼒で揺すられてしまった場合でもPC鋼棒の復元⼒で元に復します。これは“制震効果”とも⾔える他の構造には⾒られない優れた性能です。
② 柱に梁受けのコーベル(あご)を設けることで梁端部の耐力をコーベルにも負担させることで、2次ケーブルはその緊張⼒に余力(約50%)を持たすことができます。例え過度の外⼒で変形が⽣じても、2次ケーブルの復元⼒でフレームを本来の姿に復元させること可能となります。機能分化させることで、最⼤震度である震度7のレベルまで耐震性能を⾼めました。
また、工事中には⾃⽴した柱に梁を架設しますので、仮設資材である⽀保⼯を必要とせず、⼯事費・⼯期の縮減を実現します。

PC圧着関節工法
架構模式図

PC圧着関節工法 架構模式図

最新のアゴを有する
圧着関節工法

Comparison of PAJS with Regular PCaPC Method

従来からある圧着工法は、下図(図-b)に示すように重量物である梁を下垂させないために、PC鋼材に80~90%の緊張力を導入しています。地震の際には撥型(ばちがた)の隙間が生じますから、下垂する可能性と、変形(外力)が大きいと破断する危険があります。
従来工法を改良したPC圧着関節工法は、下図(図-a)に示すように柱にあご(コーベル)を設けて、柱の下垂を防ぐと共に、PC鋼材の復元力を最大限に発揮させるため、丁度良い緊張力である50%程度にしてあり、極大地震に遭遇し撥型(ばちがた)の隙間が生じても元の状態に戻りますから、罹災後の構造躯体の継続使用を確実なものとすることが出来ます。

最新のアゴを有する
圧着関節⼯法

関節理論

関節理論
図-a PC圧着関節工法
図-a PC圧着関節工法
図-b 従来圧着工法
図-b 従来圧着工法

耐震性の検証について

耐震性の検証について

Seismic Structural System with PAJS

PC圧着関節⼯法は、建築構造界で権威ある著名な先⽣⽅により、平成14年11⽉・平成15年11⽉の2年に亘る東京⼯業⼤学での公開実験で、耐震/震度7という耐震性能が検証されました。

PC圧着関節工法の実験

梁が柱のあごの上で回転挙動し
エネルギーを逸らす

震度7に遭遇しても、構造躯体は健全で継続使⽤が可能。写真は、層間変形⾓R=1/25を与えた後のものです。PC圧着関節⼯法の柱-梁の接合部は、中地震では鉄筋コンクリートと同様に剛体を保ち、部材が損壊するような⼤地震の際には、接合部を⼈体の関節の如くに回転挙動させ部材の損傷を最⼩限に⽌めます。PC鋼材にはあらかじめ元に戻す復元⼒が内在していますから、変形は元に戻り、軽微な補修で関節⼯法の構造躯体は継続使⽤が可能です。

PC圧着関節工法の実験

PC圧着関節工法の実験

鉄筋コンクリートの実験

柱・梁仕口の塑性損傷で
地震エネルギーを吸収

震度5or6程度(層間変形⾓R=1/100)で写真のような損傷・損壊が⽣じ罹災後の継続使⽤は困難となります。鉄筋コンクリート造は、震度5〜6程度で修復が不可能な損壊が⽣じ、塑性変形したままとなります。余震の度に損壊が進⾏するため、最終的には崩壊を招いてしまします。実験からも⼤地震に遭遇した後での継続使⽤が難しいことが分かりました。

鉄筋コンクリートの実験

PC圧着関節⼯法委員会メンバー ― 平成15年11⽉時点の役職 ―

公開実験にて耐震性を検証された諸先⽣は次の通りです。

委員長
中野清司  
元建設省建築研究所所⻑、
元免震協会会⻑東京電機⼤学名誉教授/⼯学博⼠
委 員五十音順
秋⼭宏元  
⽇本建築学会会⻑、
東京⼤学名誉教授/⼯学博⼠
坂⽥弘安  
東京⼯業⼤学助教授/⼯学博⼠
⽥邉恵三  
KTB協会技師⻑/⼯学博⼠
町⽥重美  
東京建築研究所社⻑/⼯学博⼠
松崎育弘  
東京理科⼤学教授/⼯学博⼠
⼭内泰之  
独⽴⾏政法⼈建築研究所理事⻑/⼯学博⼠
⼭⽥⼤彦  
東北⼤学教授/⼯学博⼠
和⽥章   
元⽇本建築学会副会⻑、東京⼯業⼤学教授/⼯学博⼠
※ 平成23年5⽉30⽇に⽇本建築学会会⻑に就任いたしました。